管理栄養士と栄養士の違いとは？難易度や仕事内容・就職先など徹底解説！

管理栄養士と栄養士の違いがわからない人は多くいます。この記事では、管理栄養士と栄養士の違いを資格取得の難易度や仕事内容、就職先や給与などのさまざまな面で解説します。記事を読めば、両者の違いを理解でき、自分のキャリアプランに合った資格の選択が可能です。

管理栄養士と栄養士の違いは、主に資格取得の難易度と業務範囲にあります。管理栄養士は高度な専門知識が必要な国家資格であり、より幅広い業務に携われる資格です。

管理栄養士と栄養士の基本的な違い

管理栄養士と栄養士の基本的な違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士の概要

管理栄養士は、栄養士の上位資格で国家資格です。資格を取得すると、傷病者への栄養指導も可能。医療・福祉施設や学校、企業など、活躍できる分野は多岐にわたります。栄養学だけでなく、臨床や生理学といった高度な知識も必要です。国家試験に合格すると、資格を取得できます。受験資格を得る方法は以下の2つです。

主な業務内容は、食事療法の計画や栄養指導の実施、給食管理などです。特に病院や介護施設での需要が高く、予防医学の分野でも活躍できます。給与は栄養士より高い水準が期待でき、管理職や専門職としてのキャリアアップも可能です。
» 管理栄養士の仕事内容と向いている人の特徴

栄養士の概要

栄養士は、食と健康を専門家として活躍できる資格です。2年以上の栄養士養成課程のある大学や専門学校で所定の単位を修得する必要があります。卒業すると、都道府県知事から免許が交付されます。主な業務は、給食管理や栄養管理です。病院や学校、福祉施設、食品会社など、さまざまな分野で働けます。

栄養士には実践的なスキルが求められます。さまざまな人々と接する機会が多いため、コミュニケーション能力も重要です。

管理栄養士と栄養士の資格取得要件の違い

管理栄養士と栄養士の資格取得要件の違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士の資格取得要件

管理栄養士の資格取得は、4年制大学の管理栄養士養成課程を卒業し、国家試験に合格するのが近道です。栄養士免許取得後、1～3年以上の実務経験を積んだ後に国家試験を受験し資格を取得する方法もあります。実務経験だけでは受験できません。

栄養士の資格取得要件

栄養士の資格取得には、厚生労働大臣が指定の栄養士養成施設の卒業が必要です。養成施設の種類は、大学や短期大学、専門学校があります。1年制の栄養士養成施設はありません。

管理栄養士と栄養士の仕事内容の違い

管理栄養士と栄養士はどちらも食と栄養の専門家です。管理栄養士と栄養士の仕事内容の違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士の主な仕事内容

管理栄養士の仕事内容は、高度な専門知識を活かして栄養指導を行います。健康な人だけではなく、特別な配慮が必要な人にも栄養指導を行えるのが特徴。仕事内容は以下のとおりです。

最新の栄養学に基づき、科学的根拠のある栄養指導が求められます。生活習慣病予防に関わる仕事は、活躍の場が広いのが魅力です。食品開発や品質管理、栄養成分表示の監修などにも携われます。研究機関での栄養研究に関わる道も可能です。
» 関西福祉科学大学(外部サイト)

栄養士の主な仕事内容

栄養士の仕事は、主に健康な人に対して栄養指導を行います。病気や怪我で療養中など、特別な配慮が必要な人の栄養指導は担当できません。栄養士の仕事内容は以下のとおりです。

近年、健康への関心が高まっているため、食生活のアドバイスのできる人材が求められています。栄養士は医療機関や学校、福祉施設、企業などで活躍できる場が広いのが特徴です。

管理栄養士と栄養士の就職先の違い

管理栄養士と栄養士の就職先の違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士の就職先

管理栄養士の主な就職先は以下のとおりです。病気や怪我で療養中の人に対して、高度な栄養指導もできます。

» 日本栄養士会(外部サイト)

健康食品会社やドラッグストアなど、新しい分野での活躍場所も増加傾向です。栄養コンサルタント事務所に所属する方法もあります。

栄養士の就職先

栄養士の主な就職先は、企業、社会福祉施設、保育園・幼稚園、学校などです。集団給食での給食メニュー作成や調理、栄養管理を行います。健康な人に対しての栄養指導も担当できます。個人事業主として、栄養コンサルタントとして活動する働き方も可能です。

スポーツ関連施設やフィットネスクラブは、会員の人への食事のアドバイスをする仕事もあります。食品検査機関では、栄養士の知識が役立つ仕事が多いです。地域の人々の健康を守る保健所などの行政では、任期職員(アルバイト)でも活躍できます。

管理栄養士と栄養士の給与相場の違い

管理栄養士と栄養士の給与相場の違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士の給与相場

管理栄養士の平均年収は、400～500万円程度です(※1)。経験により以下の違いがあります。

経験年数	給与相場(月額)
新卒	20～25万円
3～5年	25～30万円
10年以上	35～40万円

一般的に病院や福祉施設の給与が高く、次いで企業、学校給食の順となります。公務員として働く場合は、地域や職位により異なりますが、民間企業よりも給与水準が高い傾向です。都市部は地方より高くなる傾向があります。

※1 e-Stat「令和5年賃金構造基本統計調査」では、管理栄養士・栄養士の区別がされていません。栄養士の区分の平均年収を参考にしています。

栄養士の給与相場

栄養士の平均年収は、350～400万円程度です(※1)。経験により以下のように上がります。

経験年数	給与相場(月額)
新卒	18～22万円
5年程度	22～26万円
10年以上	25～30万円

給与は働く業界によって変わります。病院、介護施設、会社など、職場ごとに待遇はさまざまです。正社員より派遣社員の方が、時給換算で高くなる場合もあります。一般的には、地方よりも都会のほうが給料は高い傾向です。資格や専門スキルを持っていると、給料が上がる可能性も高まります。
» 厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査(外部サイト)

※1 e-Stat「令和5年賃金構造基本統計調査」では、管理栄養士・栄養士の区別がされていません。栄養士の区分の平均年収を参考にしています。

管理栄養士と栄養士のキャリアパスの違い

管理栄養士と栄養士のキャリアパスの違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士のキャリアパス

管理栄養士のキャリアパスは、さまざまな選択肢があります。病院や介護施設では栄養部門の責任者としてキャリアアップが可能です。食品メーカーでは商品開発や品質管理部門への異動もできます。保健所や行政機関では部署の統括責任者、教育分野では栄養教諭や大学教員として活躍できます。

国際協力活動に参加し、途上国の栄養改善へ貢献することも可能です。

栄養士のキャリアパス

栄養士のキャリアパスの例は以下のとおりです。

栄養士として経験を積み、新たな専門性を身に付けるのがおすすめ。管理栄養士の資格を取得すると、キャリアアップの選択肢はさらに広がります。

管理栄養士と栄養士に向いている人の違い

管理栄養士と栄養士に向いている人の違いを、以下の項目に分けて解説します。

管理栄養士に向いている人の特徴

管理栄養士に向いている人は、栄養学や生化学などの専門知識に強い興味を持っているのが特徴です。常に新しい知識を学ぶ意欲があり、論理的思考力と分析力が高い人が適しています。コミュニケーション能力とリーダーシップがある人も向いています。

栄養士に向いている人の特徴

栄養士に向いている人の特徴は以下のとおりです。

食べ物や健康に関心が高い

食材の知識や栄養学に深く関心があり、新しい知見を常に調べる習慣のある人は、栄養士に向いています。

コミュニケーション能力が高い

クライアントや患者、医療従事者などと関わりが強くなります。相手の話をよく聞き、わかりやすく説明できる能力が必要です。

細かい作業を丁寧にこなせる

食材の計量や献立作成など、正確さが求められる作業が多くあります。衛生管理や書類作成など、地道な作業をきちんとこなせる人も向いています。

衛生観念の高さや責任感の強さなどの資質も、栄養士に向いている人の特徴です。職場では多くの人と連携するため、チームワークを大切にできるのも大切です。栄養学は日々進歩するため、新しい知識を学び続ける意欲も不可欠になります。

管理栄養士と栄養士を目指す方法

管理栄養士と栄養士を目指す方法は以下のとおりです。

大学・短期大学で学ぶ

大学・短期大学で管理栄養士や栄養士の資格を取得するには、4年制大学の管理栄養学科や栄養学科で学びます。短期大学の栄養学科で2年間学ぶ方法も可能です。どちらの場合も、栄養士養成施設として指定された学科で必要な単位を取得する必要があります。

短期大学を卒業した場合は、栄養士として実務経験を積んでから管理栄養士を目指せます。管理栄養士国家試験対策講座を開講している大学もあります。多くの大学で卒業後の就職サポートやキャリア支援が充実しており、スムーズな就職活動が可能です。

専門学校で学ぶ

専門学校では、2年以上のカリキュラムで栄養士の資格取得が可能なので、大学よりも短期間で目標達成が可能です。専門学校の特徴は以下のとおりです。

即戦力を育成するカリキュラムが組まれているため、卒業後すぐに現場で活躍できる力が身に付きます。大学と比べて学費が比較的安価な場合が多いのも魅力です。栄養士と調理師のダブルライセンスを取得する3年制の養成施設も存在し、キャリアプランに合わせて学べます。

管理栄養士の国家試験受験資格取得のための専門学校もあるため、将来のキャリアアップを見据えた選択が可能です。

まとめ

管理栄養士と栄養士には、資格の種類や取得要件、仕事内容や就職先などで違いがあります。管理栄養士は、より専門的な知識と技術が求められる国家資格で、医療機関や福祉施設での活躍が多い傾向にあります。