保育園栄養士の仕事内容と1日の流れを徹底解説!​必要な資格・スキルは?​

保育園栄養士の仕事内容と1日の流れを徹底解説!​必要な資格・スキルは?​

保育園栄養士は、子どもの健康や成長を支える重要な職業です。子どものために栄養士として働きたいと思っていても、仕事内容や待遇、必要なスキルがわからないと不安で一歩が踏み出せません。この記事では、保育園栄養士の役割や日々の業務、必要な資格、待遇、求人の探し方まで詳しく解説します

記事を読むと、保育園栄養士の仕事を具体的にイメージでき、保育園で働くことの不安を解消できます。保育園栄養士の仕事内容についての知識を得て、子どもたちの健康と成長を支えましょう。
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保育園の栄養士の役割

保育園の栄養士の役割は、以下のとおりです。

  • 健康を支える
  • 食育を行う

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健康を支える

保育園栄養士の大切な役割の一つは、子どもの健康を支えることです。子どもの発達には、成長期に必要な栄養素を摂取する必要があります。保育園栄養士は、子どもに合った栄養バランスを考え、適切な食事を作るために以下の取り組みを行っています。

  • 成長段階に応じた栄養管理
  • 季節や体調に合わせた献立の作成
  • 栄養価の高い食材の選定
  • 生活習慣病予防につながる食育

子どもの健康状態を確認し、食事内容に反映させるのも大切です。体調の優れない子どもには、消化に優しい食事を用意し、発育が気になる子どもには栄養素を強化したメニューを考えます。噛む力や飲み込む力の発達を促すため、食材の大きさや硬さを年齢に応じて調整する工夫もします。

子どもの健康を支えるためには、保護者との連携も欠かせません。家庭での食事に関する相談に対応したり、子どもの食習慣の改善に関する情報を発信したりします

食育を行う

子どもが健康的な食生活を身に付けるには、幼い頃からの食育が重要です。食育活動として、季節の食材や行事食の説明をしたり、食事のマナーや箸の持ち方を教えたりします。野菜の栽培体験や調理体験を通して、食べ物への興味を引き出せます。

絵本や紙芝居を使用すると、子どもにわかりやすく食育について教えることが可能です。年齢に応じた食育プログラムを考えるのも、保育園栄養士の大切な役割です。小さな子どもには、食材の色や形、味を五感で感じられる機会をつくります。

保育園の栄養士の仕事内容

保育園の保育士の仕事内容は、以下のとおりです。

  • 献立の作成と栄養管理
  • 調理師との連携による調理・提供
  • 食物アレルギーおよび特別食の対応
  • 食に関するイベントの企画・運営

献立の作成と栄養管理

保育園栄養士の重要な仕事の一つが、献立の作成と栄養管理です。子どもの成長を栄養面から支えるために、バランスの良い食事メニューの作成が求められます。献立は、厚生労働省が定めた「保育所における食事提供のガイドライン」にもとづいて作成します。年齢ごとの栄養素量を計算し、適切な摂取量を守ることが大切です。

献立作成時のポイントは、以下のとおりです。

  • 季節の食材を使用する
  • 行事食を取り入れる
  • 子どもの嗜好や食べる量を考慮する
  • サイクル献立を使用する
  • 給食費の範囲内で食材を調達する

栄養管理では、子どもの栄養の摂取状況を確認し、必要に応じて調整します。体調や発育に合わせた対応も重要です。地産地消の考え方を取り入れ、和食文化を取り入れる工夫も求められています。

調理師との連携による調理・提供

子どもに健康的な食事を提供するためには、調理師との連携が欠かせません。栄養士は、献立の作成だけではなく、調理現場の調整役としても重要な役割を担います。献立の意図や食材の取り扱いについて、調理師に伝えるのも大切です。温度管理や衛生管理の注意点を共有し、保育園の方針に沿って給食づくりを進めます。

調理現場の状況を把握し、効率的な調理工程を考える必要もあります。子どもたちの食事の様子を調理師に伝え、味や食感の工夫をするのも重要です。同じメニューでも配膳方法や盛り付け方を変更すると、食欲が増進されます。予定していた食材が使えない場合の対応や、味の最終調整も栄養士の役割です。

食物アレルギーおよび特別食の対応

食物アレルギーは子どもの生命に直結するため、細心の注意と専門知識が必要です。入園時の面談や保護者からの情報、医師の指示書をもとに、食物アレルギーのある子どもを把握して個別対応計画を作成します。個別対応計画には、アレルギーの原因食材や症状、緊急時の対応方法を記載します。

特別食は、アレルギー食材を除去しつつ、栄養バランスの良い代替食を考えなければなりません。誤食を防ぐため、専用のトレイや食器を使用し、配膳時にはダブルチェックを徹底します。調理器具や作業スペースを分けるのも効果的です。

食物アレルギーを持たない子どもと違和感のない見た目の特別食事にすると、心理的な負担を軽減できます。アナフィラキシーショックが発生した場合の対応手順を明確にして、保育士と連携して訓練します。最新のアレルギー情報を収集し、職員研修をしたり、マニュアルを見直したりするのも重要です。

食に関するイベントの企画・運営

食育イベントは、子どもたちの食への関心を高め、健全な食生活の定着につながります。季節の行事に合わせたイベントは効果的であり、以下の活動があります。

  • 季節ごとの食育イベント
  • クッキング保育
  • 保護者向け食育講座
  • 収穫祭や農業体験
  • 園内菜園活動

日常的な食育活動として、食育だよりや食に関するポスター、誕生日会特別メニューなども効果的です。食に関するイベントを通じて、子どもたちは食事マナーや栄養の知識を身に付けられます。

保育園栄養士の1日のスケジュール

保育園栄養士の一般的な1日のスケジュールは、以下のとおりです。

  1. 朝の業務開始と準備
  2. 給食の調理と配膳
  3. おやつの準備と配膳
  4. 片付けと翌日の準備

朝の業務開始と準備

朝の準備は、給食をスムーズに提供するために重要です。保育園に出勤したら、手洗いや消毒を徹底します。調理スタッフと献立や注意事項を確認し、作業の漏れを防止します。アレルギー対応や特別食の提供について共有することも重要です。食材のチェックは品質や鮮度、必要数量を重点的に行います。

チェック後は、食材の下処理を指示し、衛生管理を徹底します。調理環境の管理も欠かせません。調理室の温度や湿度を記録し、食中毒の予防に努めます。保育士から出欠情報を確認して、必要な給食数を調整します。

給食の調理と配膳

給食の調理と配膳は、保育園栄養士が中心となる業務です。一般的なタイムスケジュールは、以下のとおりです。

調理作業(9時~11時)
下処理や加熱調理まで実施するのが主な業務です。食材の温度や衛生管理に注意しながら、レシピ通りに調理が進行しているか確認します。
配膳準備(11時~11時30分)
各クラスの食事数を確認し、配膳器具や盛り付けの準備をします
配膳(11時30分~)
年齢に合った量を盛り付けて配膳し、アレルギー対応食は、専用トレイで提供することが必要です。

» 日本栄養士会(外部サイト)

子どもたちの食べる様子を確認して、メニューの人気度や改善点を把握します。食育の機会として、食べ方の指導や声かけもします。十分な栄養が摂取できているか確認するため、残食のチェックや摂取量の記録も重要です。調理室の清掃と消毒を徹底し、衛生環境を整えます。

おやつの準備と配膳

おやつは、子どもたちの成長を支える大切な食事です。おやつの準備は、一般的に15時頃から始めます。アレルギーに配慮したおやつの内容を確認します。配膳時は、子どもたちの食べる量や食べやすさに配慮が必要です。年齢に応じた大きさや形状に調整し、食べやすくします。

季節や行事に合わせたおやつの提供も大切です。食べ残しの量を記録して、子どもの嗜好や適量を把握し、次回の献立作成の参考にします
» こども家庭庁(外部サイト)

片付けと翌日の準備

片付けと翌日の準備は、翌日の業務をスムーズに進めるために重要です。給食やおやつの片付け後、厨房を清潔にします。調理器具の洗浄や消毒、整理して衛生管理に努めます。翌日の準備は、以下のとおりです。

  • 献立の最終確認
  • 食材の発注と在庫確認
  • 食材の下処理や仕込み
  • 調理師・保育士との打ち合わせ
  • 食物アレルギー児の対応確認

衛生管理記録の更新や、残食調査の記録と分析も献立の改善に重要な作業です。時間に余裕のある場合は、保護者向けの給食だよりの作成や食育活動の準備もします。厨房機器の点検も重要です。故障や不具合があれば、翌日の調理に支障がないよう早急に対応します。

保育園栄養士の待遇

保育園栄養士の待遇を以下の3点に絞って解説します。

  • 給料の相場
  • 勤務時間と休日
  • 福利厚生

給料の相場

保育園栄養士の給料は正社員の場合、年収350~450万円、月給20~25万円程度が一般的です(※1)。給料は勤務先や働く場所、経験によって変わり、経験を積むと年に1~3万円程度の昇給が見込めます。公立と私立の初任給の違いは、以下のとおりです。

公立保育園私立保育園
初任給18~20万円17~19万円

管理栄養士の資格があると、栄養士より月給が1~3万円程度高くなる傾向があります。ボーナスは年2回あり、合計2~4か月分が一般的です。保育園栄養士は非常勤やパートの求人が多く、時給は1,000~1,300円程度です(※2)。経験や保有資格によって時給は変わるため、求人情報はしっかり確認しましょう。
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※1 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」では、管理栄養士・栄養士の区別がされていません。栄養士の区分の平均年収を参考にしています。
※2 「Indeed」で公開されている求人の時給を参考にしています。

勤務時間と休日

保育園栄養士の勤務時間や休日は、保育園の方針や雇用形態によって異なります。主なシフトは、7時~16時や8時~17時です。勤務時間の特徴は、以下のとおりです。

  • 実働8時間(休憩1時間)
  • シフト制
  • 残業は月5〜10時間程度

土日休みの週休2日制が多い傾向ですが、土曜出勤が必要な保育園もあります。年間休日は110~120日程度で、祝日や年末年始、お盆は多くの保育園が休みです。正社員だけでなく、パートや時短勤務の求人も多いため、ライフスタイルに合わせて働けます。

福利厚生

多くの保育園で社会保険が完備され、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険の保障を受けられます。社会保険以外の主な福利厚生は以下のとおりです。

  • 有給休暇制度
  • 産前産後休暇・育児休業制度
  • 介護休業制度
  • 退職金制度
  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 制服貸与
  • 健康診断

職員食堂や給食の割引・無償提供を行う保育園もあります。管理栄養士を目指す方は、資格取得支援制度を導入している保育園がおすすめです。永年勤続表彰制度や福利厚生施設の利用など、長期間勤務で得られる福利厚生もあります。

保育園栄養士に必要な資格とスキル

保育園栄養士に必要な資格とスキルは、以下のとおりです。

  • 栄養士免許と管理栄養士資格
  • アレルギーに関する知識
  • コミュニケーション能力

栄養士免許と管理栄養士資格

栄養士と管理栄養士は、業務内容や資格の取得方法が異なります。栄養士は、2年制・3年制の短大や専門学校を卒業すれば取得可能です。一方、管理栄養士は、4年制の大学を卒業して国家試験に合格する必要があります。栄養士として3年以上の実務経験を積んだ後に、国家試験を受けることも可能です。

保育園で働くには栄養士の免許があれば十分ですが、管理栄養士の資格があると、以下のようなメリットがあります。

  • より高度な栄養管理業務を担当できる
  • 給与水準が上がる
  • キャリアアップの機会が広がる
  • 大規模施設での採用で有利になる

将来的なキャリアを考えると、管理栄養士の資格は大きな強みです。複数の保育園を管理する栄養責任者や保育関連企業の食育アドバイザーなど、働き方の選択肢が広がります。

アレルギーに関する知識

保育園栄養士は、食物アレルギーに関する知識が欠かせません。アレルギーのある子どもが増加しているため、適切に対応できる能力が求められています。軽い発疹から命に関わるアナフィラキシーショックまで、アレルギーの症状はさまざまです。

食物アレルギー栄養士などの専門資格の取得を目指すとアレルギーの知識を深められます。栄養士だけではなく、保育園全体でアレルギー対応の意識を高めることが重要です。

コミュニケーション能力

保育園では、子どもや保護者、保育士、調理スタッフなど、多くの人と関わるためコミュニケーション能力が大切です。さまざまな関係者と円滑にコミュニケーションができなければ、子どもたちの安全と健康を守れません。特に食物アレルギーの対応では、伝達ミスが命に関わる重大な事故につながります。

問題が発生した際、適切に報告・連絡・相談ができる能力も必要です。専門用語を使用せず、わかりやすい言葉で伝えられるように、日頃から意識する必要もあります。

保育園栄養士として働く方法

保育園栄養士として働くための手順は、以下のとおりです。

  1. 求人を探す
  2. 求人に応募する

求人を探す

求人はさまざまな場所に掲載されているため、自分に合った方法を選びましょう。求人の主な探し方は、以下のとおりです。

  • 専門の求人サイト
  • ハローワーク
  • 人材紹介会社
  • 自治体ホームページ
  • 保育園運営会社の採用ページ
  • SNS求人グループ

栄養士・管理栄養士向けの転職サイトには、専門性の高い求人が多くあります。公立保育園を希望する場合は、自治体のホームページをこまめにチェックしましょう。公立の求人は募集期間が限られているため、見逃さないように注意してください。

知人や友人の紹介は、非公開求人に出会える可能性があるため、人脈のある人におすすめです。短期や非常勤の経験を積みたい場合は、派遣会社への登録も一つの方法です。転職フェアや就職説明会では、保育園の担当者と直接会話できるため、積極的に参加しましょう

求人に応募する

希望する求人を見つけたら、応募に必要な書類を準備します。履歴書や職務経歴書、栄養士・管理栄養士の資格証のコピーが必要です。アレルギー管理や食育関連などの資格書があれば、必要に応じて準備してください。応募方法は求人によって異なります。求人を探す際に、応募方法を確認しましょう。

求人サイトの応募フォームや人材紹介会社を利用する方法が一般的です。公立保育園は、自治体のホームページで書類をダウンロードして提出します。面接までに応募先の保育園の食育方針や特色を事前に調べましょう。

面接で自分のスキルや経験が応募先の保育園にどのように貢献できるか説明できるようにしておくと、採用率がアップします。

まとめ

保育園栄養士は、子どもたちの健康を支える職業です。献立の作成や栄養管理、アレルギー対応などの業務が中心です。多くの保育園は、祝日や年末年始、お盆が休みのため連休を取りやすいですが、土曜日が出勤のケースもあります。保育園栄養士は、栄養士免許が必須です。

管理栄養士の資格があれば、キャリアアップに役立ちます。求人は専門サイトやハローワーク、人材紹介会社などで探し、良い求人があれば履歴書や職務経歴書を準備して応募しましょう。栄養士の資格を生かして、子どもたちの健康や成長を支えたい人にとって、保育園栄養士はおすすめの職業です。